ラノベ資料発掘所

本をあまり読まない筆者が、読んだ本のレビューやら考察やらを書いていくブログ

奴隷を描くのなら、人間性を捨てさせない方がいいのだろうか?

ふと洗濯機を見て、元々はこういう仕事を奴隷などがしていたのだろうかと思います。

実際はそんな程度ではなく、喋る汎用器具として扱われていたのですが。人間の欲望とは末恐ろしいと感じる今日この頃です。

 

前回は同ジャンルのものを書いたため、内容が重複しすぎないように書いたつもりです。もしも内容に不足を感じたら前回のブログ内容をどうぞ。↓

奴隷を知りたいのでイスラームの奴隷から学ぶ - ラノベ資料発掘所

まだ不足というのなら私の内容不足です。すみません。

お手数ですが他のサイトに行ってください。

 

 

奴隷の価値

 

ローマでは奴隷は富める者の象徴でした。今で言う高級車のようなものです。

戦争などで多くの奴隷を捕まえたときなどは価値が下がり、平和な時代が続くと価値が上がりました。

 

奴隷は人間なのですからあまり過酷な状況だと、重度な怪我を負うことや死んでしまうこともありました。そのため、奴隷の扱いも価値によって変わってきます。

結局主人は奴隷を物としてみているので、どのように扱うかは代用できるかどうかで決まっていたのでしょう。

 

 

奴隷の仕事について

 

前回、結局は主人次第というやや投げっぱなしの結論を付けました。資料がなかったとはいえあんまりなので、少し掘り下げて説明していきます。

 

まず、奴隷には2種類いました。家の奴隷と農場の奴隷です。

 

家の奴隷は技術面を必要とする仕事で、主人たちの世話や警備、一通りの雑務をこなします。

肉体的な労働は軽いのですが、主人が近くに居るので常に気を使う形となります。特にミスをしてしまった場合、主人によっては即鞭打ちや暴行をされてしまう恐れがありました。

 

逆に農場の奴隷は肉体的な労働が多かったので、体力を必要としました。主人のいる家からは離れていて、気よりも体力を使うことになるのですが、生活環境は家の奴隷よりも悪かったとみられています。

 

どちらの方がよかったのかというのなら、家の奴隷が優遇されているかと思います。

家に住むと言うことは、主人の資産や家族と近い場所で生活するということです。主人としては罪を犯して奴隷になった人間は家に入れたくないでしょうし、信頼の置ける奴隷も家に置く傾向があります。

食べ残しにありつける可能性や夜風を凌げることができる点から見ても、家内で暮らす奴隷が人気であったことが分かります。

 

 

奴隷のしつけ方、とは

 

奴隷を描く場合、人間性を出した方がいいのか。それとも逆境に耐えかね心を閉ざした存在を描けばいいのか。

 

少なくても、奴隷は普通の人間と何一つ変わりません。 

嫌なやつには渋々従うでしょうし、他人の利益の為なのでできる限り手を抜こうとします。自由になりたいでしょうし、苦しい目にも遭いたくありません。 

 

ですので仕事をさせる為に主人はいろいろな策を考えます。

一番多い方法は、体罰を与える方式でした。何かを間違えたり怠けたりすると(実際にはそうでなくても主人がそう思ったら)鞭で打たれました。

また、いつか奴隷身分から解放してやると言うのも多かったようです。奴隷期間は5年前後程が一般的のようですが、法的に奴隷身分ではなくても完全に対等になり得ることはないようです。

それこそ飴と鞭の方式で、上手く使い分けで奴隷の士気を高めていたようです。

 

ちょっと特殊な例では奴隷同士に家族を持たせ、ある種の人質にすることによって働かせるということもあったようです。

 

 

法的に認められた拷問

 

ローマでは一般的に奴隷に対して過度な体罰は禁止されていました。骨を折ったり部位に欠損が出てしまうような激しい暴力のことです。

しかし、法的に認められた拷問がありました。裁判で奴隷から証言を得るときです。

 

奴隷は基本的に嘘をつく生き物と見られており、拷問によって得られた証言でないと証拠とならなかったそうです。しかも、そんな風に見られた奴隷ですから、拷問して得られた証言でも証拠能力は著しく低い物でした。

基本的に決定的な証拠が欲しいときではなく、他の物証がそろっているときに最後の一押しとして拷問されました。

 

一応死なない程度に加減された物だとはいえ拷問です。医療の発達も現代よりは数段下なので、結果的に死んでしまったこともままあったようです。

この拷問、皇帝への反逆罪以外では主人の許可が必要でした。しかしローマの奴隷の扱いを見る限り、奴隷を哀れんで拷問しないというケースは非常に少ない物でした。

 

 

感想

 

非常に独特な語り口で。一人の実在したと見られる男主人の証言風にまとめ上げた本です。しかし、語る内容はツギハギのようであり、どこか一貫性がない。けど面白い。いろんな資料をもとに語らせている訳なのだから当然なのですけれど。

数多くの参考資料を解説込みで出してくれるので、かなり裏は取れている内容かとは思います。

 

……という独特な構成なので、主人一人の証言として捉えるのではなく、様々な見解と内容が一色単に語られている。と身構えて読んだ方がいいかもしれません。

小説のように、全部同じ語り部が行っていると思い込んで読めば、混乱が先に出て内容に集中できなくなるかもしれません。

 

ですが、裏付けされた内容とちょこちょこ出てくるストーリーが面白く、私にとっては大変読みやすく思えました。少なくても前回読んだ物よりは数段読みやすい。

人物名が~~ウスばかりで覚えられないのは難点ですが。(覚える気もない)

 

最後に、奴隷とは結局人を扱うということです。

人が人を扱う。そのいい例は社会にもたくさん転がっているかと思います。

そのほかに、欲の奴隷となる人も多く居ます。

そう考えると、奴隷は身近な存在なのかもしれません。

 

いや、赤ちゃん以外は全員何らかの奴隷であるとも考えられますかね。

言葉の綾でしょうか。

 

 

 

参考図書

奴隷のしつけ方

奴隷を知りたいのでイスラームの奴隷から学ぶ

現代社会では姿を見なくなったもの、奴隷。

社畜や会社の奴隷なんて言葉はありますが、どちらも『使用者に対して強制労働等をさせられている』という意味合いが強いかと思います。

今回は有名なイスラーム社会から、奴隷とはどのようなものかを学んでみます。

イスラムじゃなくてイスラームなのは今回読んだ本の影響です。)

 

ああ、いつも通りなのですが、

ヘイトスピーチやら社畜云々関係なく『小説に使えるかどうか』が私の判断基準です。

奴隷という考え方が苦手な人向けでもないですし、宗教的人種的批判の意味もありません。

分かりやすく言うと、そういう論争はよそでやってください。

 

 

 

奴隷とは何か

 

奴隷と聞くと、このようなイメージではないでしょうか。

鎖を足または腕にはめられていて、言論行動の自由がなく、強制労働させられている。

自分の意思とは関係なく命じたままに行動させられ、逃亡も許されない。時には命すら危うくなる扱いは非人道的だとされます。

 

実はこれ、あながち間違いではありません。

イスラームでは奴隷とは人間以下の扱いをされます。馬などの家畜と同然の扱いで、法律上しゃべる家畜程度の存在であったとみられています。

 

無論、社会に参加する権利も持ちません。それどころか自分自身の所有者でもないのです。彼らの所有者は主人で、奴隷にとって主人は絶対的な存在であったことがうかがえます。

 

その一方で、奴隷たちには人間として生きる権利が与えられていました。主人は奴隷たちに衣食住を与えることが義務づけられ、主人には奴隷の生殺与奪権までは認められていませんでした。過度な懲罰や人間としての尊厳を左右するようなことは禁じられ、その法を犯したときは奴隷の所有権を剥奪されました。

 

非常に興味深いのは奴隷の法律上での扱いです。

奴隷は『半人前』とされていました。未熟な人間という扱いで、彼らが罪を犯した場合は刑が半分になります。逆に奴隷を怪我させてしまった場合でも刑が半分になりました。

 

主人の保護のもとにあり、責任能力も薄いという意味では子供に近い側面を持ちます。

それこそ主人によっては子供扱いされることもあったかもしれません。

 

 

奴隷は何をしていたのか

 

今の時代であるのなら大概のことは機械がやってくれます。

しかし、当時はそのようなものはありません。そこで目を付けられるのは今の時代でも万能と名高い人間です。

農場の仕事から家事まで、お金や重要な仕事以外ほとんど何でもやらされていました。

また、男が優先される社会なので、男主人の相手をさせられる奴隷もいました。女性だけではなく美少年も需要があり、今ならば性的暴力となることも頻繁に行われました。

 

それでも主人の地位や信頼によっては経理の仕事なども任されることもあります。

結局は、主人に大きく左右されることになるでしょう。

 

 

奴隷解放について

 

小説を書いていて奴隷のキャラを出すとします。

けど、愛着が湧いてきて奴隷から解放したくなることもあるでしょう。

それと同じようにイスラーム社会では奴隷が解放されることがままありました。

 

奴隷解放の条件はいくつかあります。

まず一番多いのは何人かの子供を産んだ女性奴隷が解放されること。

これは、奴隷を手に入れる方法が戦争で手に入れるか犯罪者を奴隷にするか、奴隷の身分の女性に生ませるくらいしかなかったからです。その功績として、奴隷解放されることが一般的でした。

 

次には結婚するために解放されること。

主人と奴隷は結婚することはできませんでした。ですので奴隷を解放し、その上で結婚すると言うことも多くありました。

 

通常の奴隷解放

信頼された奴隷を解放するなど、男女関係なく解放される方法です。解放する権利は主人が握っていたので主人と友好的な奴隷が該当します。

 

身分を買う

奴隷といっても主人によってはお金を持つ権利を与えられることがあります。お金を貯めて、自分を買い戻すのです。ごくまれにあることだそうです。

 

 

王や貴族の奴隷について

 

イスラーム社会の面白いところは、奴隷は必ずしも最下位の序列ではないことです。

王や貴族の奴隷はかなりの権力を持っていましたし、主人の子供を産んだ女奴隷は母としての力を持ちました。

 

確かに非奴隷である自由人と奴隷では差がありました。しかし、それは同じ立場の上での話でした。

あくまで奴隷が従っているのは主人であり、関係のない第三者ではなかったからです。

 

その影響もあってか、奴隷制度は主人に従うものであると同時に、貧困者を決して届くことはない高い地位に昇らせる可能性のあるものでした。

 

 

感想

 

奴隷というと有無を言わず従うイメージがありましたが、それだけではありませんでした。確かに『卑しいモノ』という差別や偏見も多いのですが、決してそれだけでは終わりません。そこにストーリーとネタがあります。

 

この本では至る所に奴隷は半人前である、という扱いから奴隷を子供のようなものとする解釈があります。

現代社会の人には少々受け入れにくい言い方かもしれませんが、しかし納得もできました。奴隷は社会的に半人前で、奴隷解放は一人前となることです。

時代が違うので主人によって大きく変わることや、体罰の度合いが大きいのはありますが、どこか子供のそれと似たところはあります。言うことを聞かせたり、法的な責任能力がなかったり。

 

それでも奴隷制のために苦しんだ人も、望まぬ妊娠をした人々も数多くいたでしょう。うまく暮らせた人数の方が少ないのかもしれません。

それでも、ただ虐げ搾取するための制度、それだけではない。

多面性を持った一つの機能として奴隷制を見ることができました。

 

イスラーム史のなかの奴隷 [ 清水和裕 ]
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書く力を付けるため、文章を論理的に感覚で捉えてみる

無数の本がある一方で、どうしても目立たない本も出てきます。

本当は価値があるのでしょうが、古本屋などでは最安値をつけられることも。たまたま人気が出なかったり古くなってしまった本たちです。

 

そんな最安値系列から一冊。

月並みなタイトルですが、

「書く力をつける本」です。

 

 

あなたは言葉を身につけているのか

 

あなたは日本語をどこで習ったのでしょう。

家庭や学校、社会の中で自然に身についた。そう答える人が多いかと思います。

 

では、作文は得意でしょうか。

もしくは、言葉で意思を伝えられるでしょうか。

 

あまり上手くいかない。

だからこそ文章上達のハウツー本が存在するわけです。

普通の人は、言葉を獲得するために悪戦苦闘したことがないのですから。

 

まずは、意識的に本を読むこと。

このよく言われる教訓は、そんな意味が隠れているのです。 

 

 

書くことに慣れはない

 

どんな著名な物書きでも、何を書くかということに悩むということは平等。

この本はそんな言葉で始まりました。

 

どんな文章であれ、相手の知らないことを書きます。しかし、人間は新し物好きではありますが、保守的です。新しいものには抵抗があります。

それを相手に教えるためには多かれ少なかれ『説得』という意図が必要になります。

 

説得力という衣装を着こんだ言葉は、見栄えが良いので相手に受け入れられます。

しかし、決定的な形というものはないので、どんな人でもその装いに悩む。そんなわけです。

 

一応、その衣装を考える条件というものはあります。

・事実を調べること。

・事実を順序立てて、誤解を呼ばないように気を配ること。

・中身をはっきりさせること。

・「わかりきったこと」から少しでも前に出ること。

・自信を持つこと

 

もちろん多読、多作、多想といった基本的なことありきですが。

 

 

例えるのなら水の流れのように

 

人はあまり長い文章を読んではくれません。

また、メンドウな雰囲気を見ただけで帰ってしまいます。

 

そんなわけで歯切れよく進め、ここぞというときにガラッと雰囲気を変えてしまうのです。

ぽつりぽつりと独特な言い回しでその場を保ちつつ、一番の見せ場へ。

 

ただし、ただ一直線というのも芸がないので、少しは寄り道をするのもよさそうです。

 

 

辞書は書くことへの助っ人

 

言葉に携わる者のマナーとして、辞書は読んでおいた方が良い。

こちらの本にはそのように書かれていました。

 

しかし、あの分厚いものを読むというのは根気のいる作業です。

引くのならば簡単にできますが、読むとなるとあの重量感が気力を奪います。

 

が、語彙力を増やすためにはこれ以上のものはありません。

私が文章を打つときは、ネットで単語を調べるというやり方をしていますが、まばらに憶えている意味を正すことくらいしかできないです。

 

ううむ。

 

日本語を真っ向から受け止めるのは難しい。

なにせ、外で辞書を読み込む人は目立ちますからね。必然的に室内用。

 

 

終わりに

 

前にも文章上達系のハウツー本を読みましたが↓

今さら人に聞けない、文章のルールを学ぶ - ラノベ資料発掘所

今回の本はわりと違った印象を与えました。

 

あちらが基本的なテクニックなどを個別に解説しているのに対し、こちらでは著作を引用して分析しているのです。(引用の引用をするわけにもいかないので、このブログには不向きでしたが)

つまり、『単語』と『文章』の違いです。

 

今の時代、文章力といったらビジネスに繋がるものと考える人が多いかと思います。そういう方々はテクニックなどを吸い寄せられるように買うでしょう。

その人口は小説を趣味としている人よりも多いです。

ですので、テクニック本が売れるわけです。

 

良作が隠れる理由が分かったところで、もう一度考えてみましょう。

 

単語で終わる言葉はありません。

人を説得させうる力を持つのは文章です。

この本だって、私が紹介したのは前半の半分、しかもさわり程度にです。 

 

人気が高くて高価な本一冊よりも、直感で選んで数多くの本を読んでみてください。相当ハズレな本でもない限り、その方が効果があるかと思います。

 

私はとかく辞書を読んでみようかと思います。

ああ、何とか楽に読める方法がないのかなあ。

 

……だから小手先なテクニックのハウツー本が売れるわけですね。

人間は面倒なこと、したがらないから。

 

参考図書

「書く力」をつける本

ファンタジー書きたいのなら、ファンタジー事典を読んだ方が良いのか?

いつもどおり、つらつらと書かせていただきます。

 

 

ファンタジー作るのに資料は何故読むのか?

 

理由が二つあります。

・名前を借りる場合、元ネタから外れすぎないため

・世界観の構成のため

 

ファンタジー作品を書く場合、オリジナリティを大切にしよう。

よく聞きます。

ですが、オリジナルって何なのでしょうか。

 

新しいモンスターを生み出し、新しい名前を付けることでしょうか。

やたらとめんどくさい世界観を構成することでしょうか。

その定義は人それぞれ違うかと思いますが、ひとつだけ言えることがあります。

 

『読まれるものなのに、読みにくいのはダメ』

 

さも当然のことです。

ここで注意なのは『読みにくい』の反対語は『読みやすい』だけではないことです。『おもしろい』とか、『続きが気になる』なんてのもアリです。

ページをめくることをためらわせる、それが『読みにくい』です。

 

さて、そんな定義をこしらえて、最初に挙げた理由を紐解いていきましょう。

 

 

・名前を借りる場合、元ネタから外れすぎないため

ファンタジー作品を書く人はたいていファンタジー作品が好きです。

もちろん読む人もファンタジーが好きで、ある程度の知識があるでしょう。

それなのに、アイテム名と設定が噛み合っていなかったとしたら……白けてしまいます。

それが意図的なのが分かればいいでしょう。しかし本当に間違えているのであれば、誤字脱字以上にがっくりとしてしまいます。

 

 

・世界観の構成のため

個人的に重要なのはこちらの方です。

ファンタジーを好きになる人って、だいたいは3つから入ります。

ゲーム、漫画(アニメ)、ラノベです。

 

漫画やラノベから入る人は手本を読んで育つので良いでしょう。

しかし、ゲームでは世界観に偏りができます。ゲームのシステム上、どうしても省かなければならないところがたくさんあるのです。偏りを正すためにはファンタジー小説を読むか、ファンタジー資料を読むしかありません。

 

 

 

で、ファンタジー資料読んだら良いのか?

 

私の個人的な見解を示すのなら、

「読みたかったら読んでください」

と言います。

 

人間、いやいや読んでも身にはなりません。

学校の授業が覚えにくいように、覚える気がないのに費やした時間はまるっと無駄になります。

人間の脳は、必要と感じていないことを覚えられるほど、記憶力は良くないです。むしろ書いてみて、酷評を受けて、ガッカリして。それでも諦められずに進もうとする。そうなったら読んでみたくなるので、そのときがチャンスです。

 

実のところ、資料を読まなくてもファンタジー小説は書けます。

中二病真っ青の創造力と、そこそこの文章力があれば楽勝です。問題なのは誰に読ませるか、ただ一点です。

自分専用だったら自分が面白いと思えれば良し。相手がいるのならその人物に良い反応をもらえばいいのです。

 

けれどもなかなかいい反応が来ない。

もっと、相手の心を打つような作品を書きたい。

そんなときに指南書や資料に頼ってみたら良いのかもしれません。なぜならその時一番読む気力があって、内容を生かせる可能性があるからです。

 

まあ、

その前に『なぜ自分の作品が低評価なのか』と、じっくり考える必要がありますが。

 

 

 

このファンタジー事典はあなたのフィーリングに合うのか?

 

さて、ここからはいつものようなレビューです。

もしココを読んでみて、何かおもしろそうだと思ったのならば、本を読んでみる参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

参考図書

ゲームシナリオのためのファンタジー事典

 

 

ファンタジーと言えば、剣と魔法のファンタジーです。(個人的に)

剣と魔法を描くためには、土台がしっかりしていなければなりません。誰がどのくらい魔法を扱えるのか。剣と魔法のバランスはどのくらいとれているのか。そもそも世界はどのように動いているのか。

 

まず初めに考えたいのは知的生命体、人間(もしくはそれに準ずる種族)です。ラノベという小説の形態で描く以上、知恵のある生き物を描いていきたいからです。

魔物も出していきたいです。武器防具なども出していくのもいいかもしれません。

 

そうやって出したいものや書きたいものを纏めた後は、どのようにすれば自然にストーリーと絡ませられるかを考えます。

 

その際、一番簡単なのは『現実に起こったことと置き換える』ことです。

例えば、昔は人間同士で争っていました。その戦争を人間と魔物の戦いにすれば自然になっていきます。武器や防具も出せますし、実在した細やかなリアリティに混ぜ込むことも可能になるのです。

 

 

資料として、推測込みの内容をまとめました。

 

・村が点々としているところは割と平和?

この資料によると、中世ヨーロッパは小さな領地が点々としているとあります。その理由は自給自足が行われることによって各地を往来する機会がなくなったためです。

逆にいうと、少人数で自給自足が行えるということです。

文明は交流した方が利益が大きいというのは現代社会を見れば明らかです。また、魔物などの敵を出現させる場合、小さい村々では防衛力が弱いので、すぐにやられる可能性があります。それでも小さい村が存在しているということは、その村は平和または高い防衛力を持っているということです。

また、壁に守られた領地でも農地は外です。食料を目的とする外敵の場合、領地に関係なく農地を襲います。そのあたりはストーリーに役立てそうですね。

 

 

・現実以上に身近な宗教

 ファンタジーではまれに、人間以上の存在、神が出現することがあります。

神が人々に知られている場合、まず間違いなく宗教のようなものが発生します。知られていなくても宗教のようなものが発展しているのかもしれません。 

特に魔法が解き明かされていない場合、神は人々にとって切実な問題となりえます。 

 

 

・人の住む地域と住まない地域

普通、過酷な環境のところに好んで住むようなことはありません。しかし、人間同士の争いなどで追い出されたり、さまよっているうちに定住する民族もいます。湿地、荒野、砂漠などがいい例で、そこにいる住民たちとの会話や交渉はストーリーの種となります。希少素材を巡る商談……、それっぽい。

普通の環境でも、近くに川があるところには町が発展しやすいです。人間が生きていくのに必須であり、運搬、防衛に使えます。

気候、環境によって植生や農業は変わってくるので、細かいところは描写しなくても食材として出すことができれば雰囲気は伝わります。

 

 

・中世ヨーロッパの道

隣の町に旅をするのに、道なき道を進むのは妙です。雰囲気は出るかもしれませんが、商人や軍用に使われる道があるからです。

中世ヨーロッパでは二つの道がありました。軍事や経済に使われた街道と、村と街道をつなぐ村の道です。

街道は途中の村などには寄らず、目的地にまっすぐ進みます。これは経済的な理由と、旅人に対する警戒のためです。宿泊所は、近隣の住民が維持する宿駅という建物が存在していました。

村の道は、道を作るスペースがあるのならその分耕作地を広げようという考えから、狭くて本数も少ないです。

道を引くにも維持するにもそれなりに苦労しますので、主要な道でなければ馬車が通れる間隔はなさそうです。

 

 

・感想

前に似たような本を読んでいましたが、それよりも数段上の内容でした。異世界ファンタジーの世界観作成に向いていて、主に昔の事柄に関して載っています。

読みやすいかと問われれば首をひねりますが、軽くないボリュームなので時間をかけてじっくり読みたい人にはいいかと思いました。

 

とはいえ、あくまで肉付けするための資料です。

ネタ帳にはなりますが、あくまで現実味を持たせる程度に添えるのが一番かと思いました。

また、魔法や武器、モンスターの項目がありますが、こちらに関しては専門的な書物の方が詳しく載っているかと思います。

ボリューミーですが、詰め込んだ感もあります。

 

そうは言っても、国語辞典並みの厚さだったら読む気はしませんが。

 

戦略とはバトルものの要である、けど

たまには古本屋から選ぶようなことはせず、他人のおすすめを素直に聞いてみようと思い立ちました。

ソースはラ研にあげられていたオススメからです。

 

(※注、このリンクは電子書籍版です)

 

この系列の『ファンタジー事典』なんてのも購入してあるのですが、先に読み終わったのがこちらからなので……ご了承を。

 

資料コレクターではないですが、新刊ばかり買うとお金がいくらあっても足りないので中古本を買うようにしています。

この本は、去年に初版が発行された本のせいか未だ古本屋では見かけていないですね。

値段は高めですが、いったいどうなのでしょう。

 

 

 

まず初めに言いたいこと

 

このレビューを見て、読んでみようと考えている方がいるかもしれないので、最初に言います。

 

この本は、現実に行われていた兵法、作戦などが様々に載っている本です。

昔の頭のいい方々が、命をかけて考え出した知恵の結晶です。

それらは決して見劣りする内容ではないと思いますが、問題があります。

 

① 自軍の兵が魔法が使えない、一般的な人間であることを前提としている。

② 敵軍の兵も普通の人間であることを前提としている。

③ 現実に存在した、その時代の素材のみを使用している。

 

こうやって書くとわかりにくいですが、要は現実にあった武器や兵法ということです。

つまり、巨人が出てくる軍の指揮や転移魔法についての対策、ドラゴンやワイバーンとの戦い方は一切載っていません。むろん、一騎当千の兵の扱い方についてもです。

昔の戦術を参考にすることはできますが、それが一番輝くのは脇役の脇役、一般兵たちです。現実では物量作戦が最強だからです。

 

ですが、ラノベでは一般兵と戦うシーンは少ない傾向があります。やっぱり派手なボスや将軍を敵役として出したいですし。

差別化を図りたいという意味では参考になるかもしれませんが……。

 

はっきり言うと。

 

内容はすごくいいのですが、王道主人公無双系でのラノベ資料と言われると微妙です。

逆に一般兵の格好いいところを書きたかったり、「我が軍の勝利だ!」みたいな物を書きたい人には向いています。

……ここ、結構重要なので。

 

 

 

腹が減っては戦ができぬ

 

対人戦闘でも、対人外戦闘でも、なくてはならない物があります。

食べ物です。

これを軽く見ていると死にます。餓死です。

 

人間が一日に食べる量は多いです。

特に運動量の多い戦闘時、食事量はうなぎ登りです。遠い国へ攻め入るときは、運ぶ量もエライことになっています。

しかも満足に保存技術がない世界だったら、どうしましょう。

 

というわけで昔は食糧問題が一番の課題でした。

遠い場所へは攻めない。領地をゆっくりと広げていく。各地の村々から食料をもらう。

そうして進軍していったそうです。

現実に、現地調達で戦争を仕掛けた国から食料を略奪するのは常識でした。

 

狭い日本ならいざ知らず、広い国々では死活問題です。

なにせ食べ物がなければ士気はがた落ち。この時代、食べ物(報酬)をくれない人間について行く人はいませんでした。

 

 

 

食べ物の次に必要な士気について

 

昔はなぜ戦争をしていたのか。

勝ったら大きな利益があるからです。

 

……つまり、一般人は損得勘定で動いています。

義理や人情もあるかもしれませんが、多くの人は損得勘定で動きます。

ラノベの主人公は損得だけで動かないからこそ輝くのですが、みんな損得関係ねぇとなると主人公は目立てません。個人的にはそういう展開も好きですが。

 

もちろん一般兵も損得勘定はあります。

自分の国が乗っ取られるのが嫌ならば、全力で抵抗します。

金のために命をかける気のない傭兵は適度にサボります。

相手が絶対に勝てそうになくて、自分の命をかける理由がなければ逃げます。

 

もちろんこれはお偉いさんにも当てはまります。

連合軍ならば、自軍の兵をできるだけ危険な目に出したくないでしょうし、報酬は多くもらいたいでしょう。

そんなことを全員が思うモノですから足並みがそろわず、ぐだぐだでへっぴり腰な軍隊ができます。むろん、逃げ出したらそこで試合終了なので、士気が低い軍は弱いです。

 

中世ヨーロッパに、100年戦争というものがあります。そんなに長く続いたのには物資の不足、国の疲弊など諸説あるようですが、士気の低さの点も上げられます。

 

 

 

時代の移り変わりと装備について

 

最後に装備の話をします。

武器の王道と言ったら剣ですよね、剣。

ですが、槍の方が戦にはよく使われているのはご存じでしょうか。

 

剣は護身用として、もしくは混戦時用として便利でした。しかし、戦場では槍の方がよく使われていました。集団で槍を構えると、それだけで強固な壁となったからです。

そうすると、剣や槍が多少当たった程度で死なないように、鎧が重要視されました。フルプレートアーマーのような全身を覆う装備、重装歩兵が人気になります。

 

遠距離武器も有利なので、弓矢も脚光を浴びます。当時は連射速度が遅いとはいえ、重要なポジションでした。実際に、戦場の殺傷数は弓矢が最も多いというのは有名な話です。

とはいえ馬に乗る騎兵に追われたら一巻の終わりですし、近づかれたら無力なので弓兵を守る兵も置かなければなりません。弓兵もただ遠くから矢を射ればいいというわけではないようです。

 

そんなとき、現れたのが銃です。

連射速度は最悪でしたが、改良を重ねることによって鎧を打ち抜くほどの威力を見せます。その凶悪な威力に装甲を限界まで厚くしましたが、防ぐことはできませんでした。

防御できないのなら重い装備は足かせです。

そのため、重い鎧はどんどんとなくなり、一部の騎兵が使うのみとなりました。もちろん他の武器もあるので、簡素化された鎧は使われ続けました。

 

その後は有刺鉄線やライフルが発明されるなど、相手をいかに先に無力化するかが主軸の、現代の装備になります。

 

 

 

感想

 

この本には塹壕や陣形、戦術など幅広く載っていました。

ですが、それを生かせるかと言われると、やはり頭をひねりたいです。

 

ラノベで昔の軍隊が出て、なおかつその兵士たちにスポットライトが当たることが少ないからです。

……異世界ファンタジーでなら参考にできるかもしれませんが、そこまで重要度は高くないですし。

 

情報量は多いので、いいネタにはなってくれます。

けど、この本単体の使いどころは難しいかも。

 

今回は妖怪本を読んでみました

前回「幻獣事典」という本を読んだのですが、日本の妖怪の数が少なかったのでそれっぽい本を手に入れました。

日本人だもの、日本の妖怪もラノベの参考に……なるかな?

西洋ファンタジーが強いから、妖怪モノは少ないような気がします。

 

一応前回リンク↓

 

ところで、妖怪とはファンタジーに入るのでしょうか。

ラノベの資料としては十分だと思うけど。

『ファンタジー=超自然的設定や異世界設定のたぐい』なのでジャパニーズモンスターもファンタジーに入るのでしょうか?

なんだかルー大柴みたいになっちった。

 

 

河童

日本各地に分類する有名な妖怪の一つです。

皆さんご存じのイメージの他に、毛が生えているもの、甲羅がないもの、赤いものなど色々種類豊富なようです。名前も「カワタロウ」や「メドチ」、「シリヒキマンジュ」など訳の分からないものまでたくさんあります。

水辺に住む、得体の知れない者の総称なのかもしれません。

恐ろしいよりはユーモラスな面が多く伝わる河童たち。相撲好きや秘伝の膏薬など、その特徴は面白みがあっていいですね。

 

 

小豆洗い

こちらも水辺に出ますが、河童ではありません。

川のそばで小豆を洗っている妖怪ですが、ときには「小豆洗おか、人取って食おか」という物騒な歌を歌います。人を川に引きずり込むこともやるそうです。

江戸時代の妖怪画集『絵本百物語』にこんな話があります。

ある寺に、一升の小豆の数を当てられる、ものの数を数えることが得意な小僧がいました。その小僧が住職に気に入られ、ゆくゆくはその寺を次ぐことになりました。それを妬んだ悪僧が小僧を事故に見せかけて殺してしまいます。そのあとから小豆を洗う小僧の目撃が相次いだ、そうです。

 

 

ろくろ首

たいてい男性だと見越し入道、女性だとろくろ首と呼ばれます。

首が伸びるイメージが強いですが、抜け首という首が飛んでいくのもあります。抜け首は「飛頭蛮」といわれ、首が飛んでいる間に体をどこかに隠してしまうと体に戻れず死んでしまうという話があります。

 

 

牛鬼(うしおに)

滝や淵、海など水辺に住み人間を襲う獰猛な妖怪です。

牛鬼に見つめられると逃げられなくなるほか、疲労して死んでしまう、影を飲まれるという話もあります。

出会ったら逆さ言葉「岩は流れる、木の葉は沈む、牛はいななき、馬はほえる」を言えば逃げられるそうです。濡れ女とセットに襲ってくることもあるそうですが、そこまでしなくても人間は捕まると思います。

 

 

天井嘗(てんじょうなめ)

昔、暗い行灯の光しかなかった時代。天井は異界へ通じる境界だと考えられてきました。そんな天井にまつわる妖怪の一つです。

天井嘗はその長い舌で天井を舐めて、シミをつけるとされた妖怪です。

 

 

加牟波理入道(かんばりにゅうどう)

元祖、トイレの神様です。妖怪もしくは神という微妙なくくりのようです。

厠は昔は暗く、多くは家の隅にありました。すきま風も多い個室で昔の人は、厠には得体の知れない者がいるのではないかと考えます。

加牟波理入道は厠に入った人間に息を吹きかけて来きます。また、大晦日に厠に入り「加牟波理入道ホトトギス」と言うと、その一年は厠では怪異に会わないとされました。

 

 

 件(くだん)

人の顔、牛の体の妖怪です。牛から生まれ、人間の言葉を話し、予言をして、数日で死にます。この予言は外れることがないとされ、嘘偽りのない意味である「よって件のごとし」という言葉まで生まれました。 

また、件の絵を家の中に貼っておけば、厄災から守られ幸運になると言われています。

 

 

 

妖怪について、勝手に考えてみる 

妖怪について考える場合、多神教である神道のことを外すわけにはいかないでしょう。

森羅万象、八百万の神々。

その発想から妖怪たちも数多く生まれてきたのかと思います。

 

そうすると、妖怪と言われたものも八百万の神々に入る?

妖狐だって奉られているし、鬼っこ神社なんてのもあります。

……妖怪は人間の戒めとして存在しているという話も聞きます。

 

強い力を持っていたりする妖怪は暴れられると迷惑なので、崇めることによって落ち着いてもらっているのでしょうか。

と、すると。

妖怪も八百万の神々のはしくれ?

 

そう考えると神様との距離も縮まったような気がします。

妖怪も個性的な奴ら、程度に感じます。

けど、それが正しいかどうかは分からないわけで。

 

…………妖怪って難しい。

 

 

参考本の感想

日本の昔の絵って独特ですよね。

おどろおどろしくて、でもどこか近寄りがたい雰囲気。

さらに面白い発想も加わって、なんともいえない雰囲気を醸し出しています。摩訶不思議。

 

で、この本なのですが。

はっきり言って内容は微妙ですが、面白みはあります。イラストも多いので軽く読む分にはいいかもしれません。値段も安いですし。

 

ですが、本気で妖怪を調べたいというのなら……ウィキペディアや他の本がいいと思います。あくまでこんなのいますよ、みたいな感じです。

 

まあ、どこか曖昧な妖怪だもの。

ネタのヒントになる程度で、楽しめる程度でいいんじゃないかと思いますけどね。

 

参考本、日本の妖怪FILE

 

日本の妖怪FILE [ 宮本幸枝 ]
価格:616円(税込、送料無料)

 

 

 

特筆できる内容がなくてレビューになった……

今回は、ほぼ本のレビューになります。

内容も短いです。

ご了承ください。

 

 

 

事典本って難しいと思うのです。

深く書けば、種類を書けないし。

種類を書けば、深くを書けないし。

 

今回読んだ本は500種類の幻獣、幻想物の書かれた事典です。

値段も1000円以下で、非常に種類も多く、イラストも使われているとのことで読んでみようと思った本です。

 

幻想世界幻獣事典 [ 幻想世界を歩む会 ]
価格:915円(税込、送料無料)

 

 

まず開いて一番目を引くのはイラストの多さです。

萌え絵とかそういうのは一切なく、まじめな絵が多数でした。

 

縦18センチ、横13センチほどの大きさの本に、1ページで2体分。イラストと300字ほどの説明が書かれています。

 

採用されている幻獣はヨーロッパからエチオピアや中国まで、幅が広いです。ただし日本の妖怪等は少なかったです。

モンスター、妖精系、動物系の幻獣が多く、最後にソロモン72柱が紹介されています。

 

神やソロモン72柱は幻獣に入るのでしょうか……?

 

 

 

さて、

非常に事務的に特徴を述べたあとは、いつものように感想を書いていきます。

 

この幻獣(?)事典で最も残念な点があります。

圧倒的な説明不足です。

本の小ささ故か、意図しているのか。

『こういう本に出ている、こういう特徴がある。』

それ以上の説明文はあまりありません。

 

興味を引いたモンスターがいれば他の本で詳しく調べるからって……。

ストーリーも何もないような短さだと思いました。

読んでいっても記憶に残りにくい書き方です。もうちょっと掘り下げてくれれば、読み手に興味を持ってもらえるような気がしますが。

 

種類は多いし、イラストはオリジナルのようですので、多くの数を知りたい方には向いているかと思います。マイナーなものも多くて、値段も安めですし。

私の個人的な感想では、ちょっと高めでも他の方がいいのではないのかな。と思いますけど。

 

200円ほどで買える、古本屋という裏口もありますし。

金を取るか、質を取るかは財布の中身と情熱に相談してください。