ラノベ資料発掘所

本をあまり読まない筆者が、読んだ本のレビューやら考察やらを書いていくブログ

魔女の薬草箱を開けてみた

中世ヨーロッパなどの王道ファンタジーといえば、剣や魔法が強調されます。

しかし、今回紹介するのは日陰者になりがちな薬草のお話です。

 

 

薬草はファンタジー向きなのか

 

回復魔法一つですべてを直せてしまうような世界では薬草なんていりません。

逆に、回復する方法がない世界だと、薬草などの需要が増します。

……これは『回復魔法ですぐに治療できる』前提の設定です。

 

誰でも痛い怪我は早く治したいもの。

早く怪我を治す方法があるのなら、魔法でも薬草でも発展するのです。

 

もしも回復魔法が、即効で直せなければ薬草も十分活躍できるでしょうが……。せっかくの魔法なのに、薬草と併用するなんて格好がつかないですね。

剣と魔法のファンタジーなのだから、回復魔法はみるみるうちに治療してほしいところです。

 

そうすると薬草の出番がなくなりそうですが、消えることはありません。魔法にだって限界があるのです。

バランス調整という壁です。

 

薬草で怪我の治療していた世界に、瞬時に治療できる回復魔法が編み出されました。

さて、薬草は衰退するのか。

 

誰もが魔法を使えるのなら薬草は衰退します。

ですが、誰もが怪我しても瞬時に治せてしまう世界だなんて、面白いでしょうか。独創的ではありますが。

 

一部の人たちのみが魔法を使えるのならどうでしょう。

誰にも分け隔てなく魔法で治療したとしても、薬草文化は残ります。一部の人は一部の人だからです。手が届きにくいところが必ずあります。

 

それに、薬草は病気にも効きます。毒にもなります。

魔法の万能具合にもよりますが、普通は消えてなくなることはないでしょう。

 

話のネタにもなりますし、キャラかぶりを防ぐことができます。

 

 

 

どんな草があるのか

 

自作するのもいいですが、実際にある草や魔女の薬草とされた草を出した方が面白みがあります。

ネタにもなりそうな植物をいくつか紹介していきます。

 

アサ・ケシ

非常に強い幻覚作用のある植物です。大麻やアヘンといえば分かりやすいでしょうか。

昔から、幻覚を引き起こすものは不可思議なものとされていました。ただ、この二つは有名すぎて、名前を出すのはためらわれるところがありますね。

 

イヌホオズキ

麻痺毒のある植物です。注目するところは、神経系の麻痺毒は麻酔代わりになり得るという点。現実では勧めませんが、ファンタジー世界で治療法がない状況では何もしないよりもましかもしれません。

 

ハナハッカ・ニガハッカ

魔除け草です。草単体でもお守りとして効果がある植物になります。

また、薬草としても非常に優秀な効果を持ち、眠りを誘う成分も含まれているとか。

 

オトギリソウ

炎症や外傷によく効く草です。

5枚の花弁を持つので古代より聖なるものとされてきました。悪魔を追い払うと言われたり、落雷よけにもなります。

 

マンドラゴラ

人型の根っこの有名な植物、実際に存在はします。

掘り出されるときに悲鳴を上げるとか、その悲鳴を聞いたら死ぬとか、雄雌があるという伝説があります。また、恋なすびや愛のリンゴと呼ばれ、媚薬効果があると言われたそうです。

小さなリンゴのような果実もあり、紫色の花も咲かせます。

 

モーリュ

ギリシャ神話、「オデュッセイア」に登場する薬草です。

魔術による呪いを防ぐことができた、白い花の植物。参考図書ではクリスマスツリーかもしれないという推測はされていますが、不明です。

 

 

 

終わりに

 

薬草というと、地味なイメージがあります。

冒険者は薬を買って、どうしようもないときに薬草を傷に当てる。

最後の砦なんですけどね。

 

道具を扱うということが、どこか卑怯くさく感じるのかもしれません。

魔法に比べると、派手さがないぶん見劣りするのかもしれません。

けれど、冒険者の荷物には一つか二つは入っているかと思います。

 

そういう下地を大事にすると、話が面白くなるような気がします。

どこか、親近感を覚えるからでしょうか。 

 

 

 

参考図書

魔女の薬草箱