ラノベ資料発掘所

本をあまり読まない筆者が、読んだ本のレビューやら考察やらを書いていくブログ

奴隷を描くのなら、人間性を捨てさせない方がいいのだろうか?

ふと洗濯機を見て、元々はこういう仕事を奴隷などがしていたのだろうかと思います。

実際はそんな程度ではなく、喋る汎用器具として扱われていたのですが。人間の欲望とは末恐ろしいと感じる今日この頃です。

 

前回は同ジャンルのものを書いたため、内容が重複しすぎないように書いたつもりです。もしも内容に不足を感じたら前回のブログ内容をどうぞ。↓

奴隷を知りたいのでイスラームの奴隷から学ぶ - ラノベ資料発掘所

まだ不足というのなら私の内容不足です。すみません。

お手数ですが他のサイトに行ってください。

 

 

奴隷の価値

 

ローマでは奴隷は富める者の象徴でした。今で言う高級車のようなものです。

戦争などで多くの奴隷を捕まえたときなどは価値が下がり、平和な時代が続くと価値が上がりました。

 

奴隷は人間なのですからあまり過酷な状況だと、重度な怪我を負うことや死んでしまうこともありました。そのため、奴隷の扱いも価値によって変わってきます。

結局主人は奴隷を物としてみているので、どのように扱うかは代用できるかどうかで決まっていたのでしょう。

 

 

奴隷の仕事について

 

前回、結局は主人次第というやや投げっぱなしの結論を付けました。資料がなかったとはいえあんまりなので、少し掘り下げて説明していきます。

 

まず、奴隷には2種類いました。家の奴隷と農場の奴隷です。

 

家の奴隷は技術面を必要とする仕事で、主人たちの世話や警備、一通りの雑務をこなします。

肉体的な労働は軽いのですが、主人が近くに居るので常に気を使う形となります。特にミスをしてしまった場合、主人によっては即鞭打ちや暴行をされてしまう恐れがありました。

 

逆に農場の奴隷は肉体的な労働が多かったので、体力を必要としました。主人のいる家からは離れていて、気よりも体力を使うことになるのですが、生活環境は家の奴隷よりも悪かったとみられています。

 

どちらの方がよかったのかというのなら、家の奴隷が優遇されているかと思います。

家に住むと言うことは、主人の資産や家族と近い場所で生活するということです。主人としては罪を犯して奴隷になった人間は家に入れたくないでしょうし、信頼の置ける奴隷も家に置く傾向があります。

食べ残しにありつける可能性や夜風を凌げることができる点から見ても、家内で暮らす奴隷が人気であったことが分かります。

 

 

奴隷のしつけ方、とは

 

奴隷を描く場合、人間性を出した方がいいのか。それとも逆境に耐えかね心を閉ざした存在を描けばいいのか。

 

少なくても、奴隷は普通の人間と何一つ変わりません。 

嫌なやつには渋々従うでしょうし、他人の利益の為なのでできる限り手を抜こうとします。自由になりたいでしょうし、苦しい目にも遭いたくありません。 

 

ですので仕事をさせる為に主人はいろいろな策を考えます。

一番多い方法は、体罰を与える方式でした。何かを間違えたり怠けたりすると(実際にはそうでなくても主人がそう思ったら)鞭で打たれました。

また、いつか奴隷身分から解放してやると言うのも多かったようです。奴隷期間は5年前後程が一般的のようですが、法的に奴隷身分ではなくても完全に対等になり得ることはないようです。

それこそ飴と鞭の方式で、上手く使い分けで奴隷の士気を高めていたようです。

 

ちょっと特殊な例では奴隷同士に家族を持たせ、ある種の人質にすることによって働かせるということもあったようです。

 

 

法的に認められた拷問

 

ローマでは一般的に奴隷に対して過度な体罰は禁止されていました。骨を折ったり部位に欠損が出てしまうような激しい暴力のことです。

しかし、法的に認められた拷問がありました。裁判で奴隷から証言を得るときです。

 

奴隷は基本的に嘘をつく生き物と見られており、拷問によって得られた証言でないと証拠とならなかったそうです。しかも、そんな風に見られた奴隷ですから、拷問して得られた証言でも証拠能力は著しく低い物でした。

基本的に決定的な証拠が欲しいときではなく、他の物証がそろっているときに最後の一押しとして拷問されました。

 

一応死なない程度に加減された物だとはいえ拷問です。医療の発達も現代よりは数段下なので、結果的に死んでしまったこともままあったようです。

この拷問、皇帝への反逆罪以外では主人の許可が必要でした。しかしローマの奴隷の扱いを見る限り、奴隷を哀れんで拷問しないというケースは非常に少ない物でした。

 

 

感想

 

非常に独特な語り口で。一人の実在したと見られる男主人の証言風にまとめ上げた本です。しかし、語る内容はツギハギのようであり、どこか一貫性がない。けど面白い。いろんな資料をもとに語らせている訳なのだから当然なのですけれど。

数多くの参考資料を解説込みで出してくれるので、かなり裏は取れている内容かとは思います。

 

……という独特な構成なので、主人一人の証言として捉えるのではなく、様々な見解と内容が一色単に語られている。と身構えて読んだ方がいいかもしれません。

小説のように、全部同じ語り部が行っていると思い込んで読めば、混乱が先に出て内容に集中できなくなるかもしれません。

 

ですが、裏付けされた内容とちょこちょこ出てくるストーリーが面白く、私にとっては大変読みやすく思えました。少なくても前回読んだ物よりは数段読みやすい。

人物名が~~ウスばかりで覚えられないのは難点ですが。(覚える気もない)

 

最後に、奴隷とは結局人を扱うということです。

人が人を扱う。そのいい例は社会にもたくさん転がっているかと思います。

そのほかに、欲の奴隷となる人も多く居ます。

そう考えると、奴隷は身近な存在なのかもしれません。

 

いや、赤ちゃん以外は全員何らかの奴隷であるとも考えられますかね。

言葉の綾でしょうか。

 

 

 

参考図書

奴隷のしつけ方